■ 焙煎度合い（浅煎り・中煎り・深煎り）についての、ちょっとこまかな話

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■ 焙煎度合い（浅煎り・中煎り・深煎り）についての、ちょっとこまかな話

■ 焙煎度合い（浅煎り・中煎り・深煎り）についての、ちょっとこまかな話

　よく焙煎されたコーヒー豆の画像を並べて「浅煎り・中煎り・深煎り」と分かりやすく表示されているものを見かけます。

　うすい茶色（もしくはクリーム色）からほとんど黒に近い焦げ茶色まで綺麗にグラデーションになっているもので「ライトローストからイタリアンローストまでの８段階」で表示されてるものが多いですね。

　確かに自分も焙煎する際には数字（時計のタイム表示や温度計の温度表示）よりもコーヒー豆の“色や見た目（質感）”の方を重視します。
　ただこの焙煎度合いの基準のように示された画像は同じ豆を使って焙煎度合いを変えたものなら正しいかと思いますが、コーヒーの品種も精製方法も採れた場所も違う豆を並べた場合きれいなグラデーションにはなりません。

　コーヒーの生豆を焙煎していくと豆が音を出して爆ぜる（はぜる）現象が2回起こります。
それぞれ「１ハゼ（いちはぜ）」「２ハゼ（にはぜ）」という言葉を使っています。
おしゃれなお店では「ファーストクラック」「セカンドクラック」と言ったりします。

１ハゼはわかりやすい「パチパチ」という音。
２ハゼはちょっと高音で小さめな「ピチピチ」という音。

　だいたいこの「ハゼ」を目安に焙煎を終了する（焙煎釜から出す）タイミングを計ります。

当店ではだいたい
・１ハゼの途中から終了間際前後を「浅煎り」
・１ハゼ終了から２ハゼの鳴り始めくらいで様子を見て終わらせる「中煎り」
・２ハゼが起きてから以降に終わらせる「深煎り」
としているのですが、わかりやすい音を出し続ける豆もありますし、控えめな音の豆もあります。

　１ハゼと２ハゼの間にはっきり無音の時間帯がある豆とか、逆に１ハゼと２ハゼが続いているような豆とか、いろいろ個性があります。
個性に合わせてこの “音” や “見た目” の他に、時間・温度といった “数値” “香り” なども参考に焙煎を終了します。

さて例えば同じ「１ハゼの終了時」で焙煎を終わらせた場合。

Ａという豆とＢという豆では見た目の色が違う場合があります。品種や精製方法などが違う為です。
そして見た目の色は違うけど「両方美味しい！」と感じることがあります。

あるいはＣという豆とＤという豆。見た目の色はほぼ一緒に仕上がりました。
でもＣは「美味しい！」と感じるのにＤの方は「不味い」というケースもあります。

　『味』を基準に考えた場合いろいろなコーヒーを並べると「浅煎りなのに中煎りの色合い」だとか「中煎りの色が浅煎りより薄い」ことも起きうるのです。
『色』そのものにも「濃い・薄い」の他に “色合い”というか「赤みがかっている」とか「黄色っぽい」とか “色味”の要素もあります。

　なにより『なにをもって「美味しい」というか？』という究極の問題がありますが「これは飲めたものではない」という “不味い” はある程度共通だと考えます。
　その上で焙煎した豆を淹れてみて香りの良さ・美味しさの印象・余韻等々いろいろ感じ取り思考しつつその豆を「浅煎り」にするか「中煎り」「深煎り」にするか決定します。

ということで
・酸味がお好きな方は「浅煎り」
・苦味がお好きな方は「深煎り」
の基本線はあると思うのですが
・見た目の色だけでは味はわからない（ことがある）
とどこか頭の片隅に置いておいていただけると嬉しいです。

　コーヒー豆店には「深煎りにこだわりのあるお店」「浅煎りを得意としているお店」など焙煎による特徴を売りにしているお店が多いです。

　当店は開店当初、着目点をそうした “焙煎度合い” ではない形で豆の紹介をしていこうと思っていました。
コーヒーの美味しさ・楽しさは「豆そのものの持っている特徴」にあると…。

　それは品種であり、生産地の地域特性（テロワール）であり、そこに精製方法が加わって焙煎で引き出されます。
淹れ方についてはそうして長い長い道程を辿ってきたコーヒー豆の最後の工程です。
ですからそれを「壊さないで！…」という思いもなくはないですが、そこまで大切に作られてきたわけですからある程度自由に淹れてもそうそうマズくなるものでもありません。

　コーヒー豆店として色々試しながら “美味しさ” について考えていく中で「一つの豆に一つの焙煎度合いだけでは表現として足らないのではないか？」と思っています。
そしてその美味しさの“幅”を伝えるためにはやはり「浅煎り」「中煎り」「深煎り」という言葉を取り入れようと考えました。

　現在、当店では何種類かの豆は「浅煎り」「深煎り」両方で販売しています。
一方で１つの焙煎度合いでしか販売していない豆もあります。
それは「あ、こんな一面もあるんだ！」とか「やっぱりこれがベストだよね」とか感じ取った結果です。

　俳優さんが役の人物を表現する時にキャラクターを決めて一つの性格で通す場合と、二面性を見せて表現する場合があるかと思いますがそんな感じでしょうか？あるいは…

　…話が脱線しそうなので戻しますが、これからも様々なコーヒーを紹介していきますのでその『焙煎度合い』の違いによる美味しさ・楽しさも『豆の特徴』と共に感じていただけたらと思います。

『新しい日常』にどうぞ美味しいコーヒーを。

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