■「焙煎したては美味しい」のか？
いままで明記しておりませんでしたが当店は
ご注文承り後（受注日午後もしくは翌日）に焙煎 しております。
さてタイトルにあります
『焙煎したては美味しいのか？』ですが
「コーヒーが美味しいのはいつか？」の質問に対する答えは多分そのお店の抱える条件で変わります。
ポジショントークと言えなくもありません。
大手のコーヒー会社のように工場で製品化してスーパーなどに並べる企業は「酸素を取り除いてパッケージしているので（未開封なら）１年は大丈夫です！」とか言うでしょう。
「焙煎したてが美味しい」と言えるのは焙煎したてを提供することができるお店です。
「美味しい」は人それぞれだったり一緒に食べるものによりけりだったりもするので、
それぞれのお店がそれぞれの正解を持っているのでしょう。
そんな中で自分自身が実際に焙煎したてを飲める環境になって思ったのは「焙煎直後はあまり美味しくないのではないか？」という感覚です。
本当の焙煎直後はなんとなく麦茶のような感じがするのです。香ばしさはありますがコーヒーらしさに欠けるというか…。
ある意味フレッシュではあります。ここからこう変わっていくんだろなあと想像も出来ます。その楽しみはあります。
これを経験できるのも贅沢なことなのですが。
焙煎によってコーヒーの酸味・色・苦味・香り等が形成されますが焙煎直後はそれらがまだ落ち着かない状態です。
焙煎によって発生した炭酸ガスが個々の要素をまだバラバラにしているようです。
一日くらい経つと落ち着いて、今度はそのガスがそのコーヒーの持つ個性的な香りを放つ力となってきます。
ピンポイントで「いつが美味しい」というならば、焙煎３日後〜10日ほどくらいだと思います。
（個人の感想です）
もちろんそれを過ぎても急激に不味くなるわけではありません。逆に「日にちが経ったら違う美味しさを感じるようになった」ということもあります。さらりとした飲み口が、まろやかな口当たりになって甘みの感覚が増したとか…。
ただ一番の問題は
『豆から粉にするタイミング』です。
これはどのコーヒー関係者も同じ意見だと思いますが
淹れる直前に粉にするのがベストです。
あとはその手間をどう考えるか？だったり設備・器具との兼ね合いになりますが、
要はコーヒーの美味しさを脳に伝達する
香りの要素(粉の香り／抽出中の香り／液体の香り／飲んだ時に口中から感じる香り）をいかに損ねないようにするかです。
コーヒーという飲み物にする
（＝焙煎豆の持つ美味しさをお湯（または水）に移す）為には、豆から粉にして表面積を大きくする必要があります。すると空気（酸素）との接触面が増え、劣化（酸化）が速まります。何よりも閉じ込められていた炭酸ガスが放出され香気成分が抜けていきます。
暮らしの中でこの劣化は止めることが出来ないので「いかに遅くするか」が大切とは思いますが、つまるところ
・「美味しい」と感じられるうちに飲む
・「変化」を楽しむ
この２点が出来ていればいいのではないでしょうか？
「焙煎３日後〜10日が美味しい」…これも当店の “ポジショントーク” と思われるかも知れません。
が、これを基準にした場合悩んだのが
『ドリップバッグを作るタイミング』です。
現状は、基本的には豆と同じ日程、
焙煎翌日に製品化(＝豆から粉に）して発送しています。
３日後まで待ってしまうとお届けが遅くなり結局は焙煎日から日にちが離れてしまいます。
“基本的には” としたのはベストだと思っているのは “注文があった時点で既に３日前の豆がありそれを製品化する” 形だと考えているからです。
冒頭に記載した通り当店は受注後焙煎の形なので「たまたま他の方の注文があった場合等で同じ豆の在庫が残っていれば出来る」という状況なのです…。
さてさて結局のところ「焙煎したては美味しい」のか？
…美味しくないかのような記述に傾いていますが、最終的な判断・答えはお客様が手にするカップの中にあります。
実店舗があれば、本当の焙煎直後も試飲していただけるのですがそうできないところが残念です…。
もし他のお店で焙煎直後のものをその場で飲む機会があれば是非試してみてください。
またもし「到着は遅れてもいいから焙煎後３日経ったものをドリップバッグにして欲しい」などご希望がございましたら
ご注文時の備考欄にその旨ご記入ください。対応いたします。
『新しい日常』の傍らにどうぞ美味しいコーヒーを。
